利根川の民謡
〈下総は唄の国〉

古い民謡 その2

とら屋お夏

 常磐高速道が利根川を越すところに守谷サービスエリアがあります。ここから1000メートルほど上流にのぼった左岸にあったのが「野木崎河岸」です。この河岸にあった茶店「とら屋」の娘「お夏」は、川筋一番の美女として評判になりました。このお夏さんへのあこがれを高瀬船の船頭さんたちがうたった櫓(ろ)こぎ唄がこれです。

 守谷の海老原周作さんが、昭和60年の茨城県民謡調査のときうたい残したテープがあって、これがいまに残る唯一の元唄です。これを「利根地固め唄保存会」の会員がさまざまに努力をして、尺八の伴奏をつけて、舞台で発表できるようにいたしました。舞台では、唄を細田松陽さん 尺八の伴奏を坂本清皇さんがつとめています。「とら屋」は現在、地元有数の豆腐製造会社に発展しています。

(※原文は改行ではなく追い込み)

とら屋お夏

       元唄=海老原周作(守谷町)

一、サァー とら屋とら屋と 急いでこげば
  野木崎とら屋は ホントニヨー近くなる

二、サァー 布川通れば よね屋が招く
  行こか戻ろか ホントニヨー気がもめる *

三、サァー とら屋お夏は 錨か綱か
  登り下りの ホントニヨー船とめる

四、サァー 障子あければ とら屋が見える
  とら屋お夏は ホントニヨー針仕事

       *二番の歌詞は芦原修二補作

(2001年9月1日)


利根川の民謡〈下総は唄の国〉:HOME | 進む

制作・監修=利根地固め唄保存会理事・芦原修二

利根川の民謡
Copyright © 2001(2018) Ashihara Shuji. All rights reserved.
短説の会