平成18(2006)年7月30日、東京神宮外苑の日本青年館大ホールで表記の民俗芸能大会が催され、「利根地固め唄保存会」は40余名という大人数の子供組を派遣し、大人組とあわせると60名余が舞台に登場するという、たいへんにぎやかな出演をしてまいりました。
小学校4年生のとき利根地固め唄保存会の子供組に参加し、ことし19歳になった青年が舞台監督をつとめ、11曲の利根川築堤に関する仕事唄を実演入りで発表しました。なお、これらの仕事唄が祝い唄になって結婚式でうたわれる様子は、同行した大人組が演じて、観客を大いになつかしがらせ、かつ爆笑を呼んでよろこばれました。
当日のこども組の音頭取り役は、8歳から16歳の男子生徒が3名、8歳から11歳の女子生徒が4名、あわせて7名であたり、一生懸命に担当曲を披露しました。
この音頭にあわせ仕事の仕方役が、多い時にはいちどきに30人が一緒に舞台に上がって元気のよい仕事ぶりを見せながら、「ヤ声」を合唱しました。
演目は土羽打ち唄が4曲、石だこ打ち唄が2曲、杭打ち唄が3曲、そこから派生した祝い唄が2曲、あわせて11曲の「利根地固め唄」の発表でした。
仕事唄が11曲、それだけでも驚きの数ですが、保存会がいま集めていて再現できるように準備している利根川の仕事唄は、30曲以上もあります。仕事唄こそ日本の民謡の基礎、出発点といわれていますが、利根川には、その事実を証明するに足りる、日本の仕事唄の原形が残されていたわけです。今回はその一端を示す意義ある発表でありました。
なお当日の催し全体の演目はつぎのとおりでした。
オープニング 開演13時00分
第1景 御殿万歳(奈良県山添村)
第2景 麒麟獅子舞(鳥取県鳥取市)
第3景 伊倉仁○加(熊本県玉名市)
第4景 八王子車人形(東京都八王子市)
第5景 利根地固め唄(茨城県利根町)
(休憩5分)
ワークショップ(ガムランの金属打楽器)
第6景 インドネシアの芸能(東京インドネシア学校/東京都目黒区)
第7景 石見大元神楽(島根県邑南町)
第8景 鶏舞(青森県十和田市)
フィナーレ 16時34分 終
なお、利根町の保存会には「感動して涙がこぼれました」という出演した生徒のお母さんの声、あるいは「私は岡山の出身で、岡山にゆかりのある熊沢蕃山先生に関係あるらしい仕事唄が発表されると聞いて見に来たのですが、舞台でうたわれた岡山節を聞いてうれしくなり、感激してしまって、涙がでるほど胸が熱くなりました」といった感想が寄せられています。
平成18年5月20日(土曜日)に表記の水防演習が利根川の取手地先で開かれました。そのオープニングセレモニーに「利根地固め唄」が発表されました。これには利根地固め唄保存会の会員が出演しました。会員には小学生から参加している「こども組」と成人会員の「大人組」があり、その全員で、昭和30年代まで利根川の河川工事で実際におこなわれていた仕事のようすをそのままに再現しました。これまでの保存会の調査によれば、利根川の仕事唄は大きく分けて「たこ打ち」「土羽打ち」「杭打ち」の三種類があり、それが発展した「祝い唄」もふくめると、その曲数は30曲をこえます。それぞれの唄には、それぞれの工事にぴったりな所作(仕方)があります。今回はその中から9曲、所作つきで紹介しました。
会場は取手市図書館から利根川河川敷に出たあたりで、広大な会場では、ヘリコプターによる救助訓練まで実演されるというたいへん大掛かりな水防練習でした。
利根川に新しい橋が架かりました。「若草大橋」といいます。長豊橋と栄橋の中間地点に架けられました。その開橋の式典が平成18年4月18
日(火曜)にひらかれました。その式典で「利根地固め唄」がお祝いとして演じられました。出演したのは「利根地固め唄保存会」の指導をうけて「利根地固め唄」を習った東文間小学校と文間小学校の5年生たち32名でした。
江戸時代の雰囲気を色こく残していた明治時代の利根川における河川工事の写真を参考にしてつくられたお揃いの衣服を着て演じました。
東文間小学校では、毎年運動会に全校生徒が地固め唄をアトラクションとして発表しています。また文間小学校では4年生の総合学習で「利根地固め唄」を学んでいます。こうした学習の成果を5年生になった生徒たちが、この記念の催しに参加して演じたわけです。なお、同時に下総栄太鼓の披露等もありました。
利根地固め唄は午前9時30分から準備に入り、10時10分に開演しました。会場は、新大橋の料金所わきの広場。一般観客のために広大な駐車場も用意され、多数の観客が開橋を祝いました。
(2006年4月〜7月)