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色紙と短冊 その使い方、書き方
Shikishi and Tanzaku

 短説の会では、新年の座会で、色紙または短冊の交換をしています。通常は点盛りをしない座でも、新年座会では点盛りを行い、自分が「天」に入れた作者に贈呈します。
 これは、近代文学(特に深刻ぶった近代小説)に欠けている、遊びや風流の要素を取り入れようということですが、単なるお遊びではありません。
 私たちは現在、普段あまり日本の伝統文化に相渉らないような生活をしています。そこで、少しでも日本の伝統文化に触れよう、親しもう、実践しようという試みです。
 探題会などを行なうのも、単に親睦やレクリエーションのためではなく、創作活動の一貫として、短説の会では取り入れています。
 以下の解説は、最初、平成二年の「短説」新年号に掲載されたものですが、その後も折にふれて再録され、プリントとしても配布されています。(西山正義)

色紙と短冊 その使い方、書き方/芦原修二

短冊や色紙を鑑賞したり書いたりするとき、参考になりそうなことを二、三……。

〔表・裏と上・下〕

松尾芭蕉/神山魚貫の短冊 色紙、短冊ともに、作品を書く面は、普通は、画仙紙か鳥の子などの白紙が張られています。絵など入れるときは、このように、表が白紙のものが適当です。
 表に、雲形の模様や、切り継ぎなどの料紙を、美しく飾ったものもあります。文字だけのときは、これらの模様が紙面の賑わいとなります。
 この模様には、上下があります。つぎの二点で判断します。雲形模様の幅が広い方が上。青や紫の色があったら、紫が下です。
 裏側は、色紙、短冊とも、表が料紙であっても画仙紙であっても、およそ均一に銀、ときには金の小さな箔が散らされています。


 色紙は、一見したところ正方形のようですが、縦にやや長く出釆ています。使う場合も縦長に用いるのが普通で、横長に使った場合は既製の色紙掛けには合わない場合もでてきます。
 色紙のサイズは、大小いろいろあります。大は一九・四×一七センチで、小は一八・二×一六センチ。本来これが規準でしたが、現在普通に売られているものは書画兼用のもので、二七・三×二四・ニセンチと、いっそう大型です。
 また貫之筆と伝わる「寸松庵色紙」に形をあわせて作られたものもあります。これはごく小型の色紙で、一三・五×一二センチ。このサイズの色紙は「寸松庵色紙」の名で、売られています。色紙の書き方はバランスを考え自由に。

色紙の表裏/上下

〔和歌の書き方〕

高野充行「喜字の祝い」/大野野人「草餅を謝す」/大野城川「雲千望の句」 短冊へ和歌を書くときは、つぎのように書きます。まず紙面を三つ折りします。(*註)
 実際に折るのではなく、目見当をつけます。そして上の折り目に、上の句の第一字目が半分かかるように書き出します。下の句も、上の句に行頭を揃えて書きます。
 上の句一行、下の句一行の二行書きにして、下の句の最後に作者の署名を入れます。位置は、上の句の終りの文字より半字くらい下がるようにします。題名は、歌の上部に書き、三字までは一行に、四字以上は二行書きにします。これを「三折半字かかり」といいます。
 女性の場合は、下の旬を上の句より二字下げに書き、名は裏面に書きます。古歌を書くときは、下の句を二字下げに書き、作者名も筆者名も書きません。

 俳句の場合は、和歌ほどかたい決まりがなかったようで、真ん中に一行に書き、その真下、あるいは右か左に行をずらして、下部に名を書いたものが一番多く、中には句を二行書きにしたものも見られます。

(*註)
 一説には、この「三つ折り」は、「三箇所に折り目をつける」という意味で、四等分にするという説もあります。題を入れない場合はともかく、題を入れるとこれではやや窮屈なのではないかと思われます。
 和歌の場合は、その他にも厳密な決まりがあるようですが、短説の一説を書くなど、散文や詩の場合は、これに準じてある程度自由でいいのではないかと思います。あとはセンス次第。字の巧い下手より、味です。
 もちろん、厳密な書式や歴史的背景を知っていて損はありません。追弔や法要など、凶事に関わる歌は、短冊の上下を逆さにするとか。どなたが制作したものか存じませんが(一応執筆者は「kodo」という人のようですが)、「短冊の書き方」というページ
(このページは文字通り1枚のページで、複数ページから成るサイト構成にはなっていません)を見つけましたので、ご参考までに。(西山正義)



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