Ashihara Shuji
北野道彦賞授賞式報告
The Award of
Kitano Michihiko

芦原修二先生が北野道彦賞を受賞!


北野道彦賞授賞式から

授賞式からのご報告/川上進也

 われらの芦原修二先生が、第八回「北野道彦賞」を受賞、さる平成十一年四月二十九日、その授賞式と祝賀パーティーが柏市でおこなわれました。会場収容力の制約から短説関係者も一部に限られたので、紙上を借りてご報告します。
 この賞は、流山市立博物館友の会の創始者・作家の故北野道彦氏の遺産を基金として、毎年、千葉県東葛地区の文化活動に貢献した人たちに贈られる権威のあるものです。
 芦原先生は「短説」の創始者としての功績はもちろんのこと、利根川中、下流の魚族の生態や漁法をまとめた『川魚図志』(崙書房)をはじめ、『小貝川河口の闘い』『口訳毛吹草』ほかの著作活動や、「利根地固め唄保存会」の結成など、地域文化活動への幅広い活躍が受賞理由に挙げられておりました。
 先生の永年のご努力の一端が認められた訳で、あらためてお祝詞申し上げますと共に、これからのますますのご健勝と、一層のご活躍を心からお祈りする次第です。

授賞式に参加して/田中睦枝

 人がすれ違うのもやっとという賑わいの柏駅前を抜け、「スタジオ・ウー」に着いた。藤代日曜座会からは、吉田、寺山、田中の三名が出席。既に到着されていた他の座会の方々と挨拶を交わす。会場は百席ほどで、こじんまりした造りながら酒落た雰囲気があり、短説演劇や朗読にも合いそうな場所であった。
 満席の状態で、授賞式が始まった。式次第が進み《授賞者のことば》は、三名の受賞者の中で芦原先生が最初であった。スピーチの冒頭で先生は、「私は、受賞をお断りしようと思っていました」と述べられた。この時、私は正直いってドキッとしてしまった。純粋に文学を探究され地域の文化を掘り起こしてこられた先生が、授賞を望んでおられないことは、短説の仲間は周知でも他の方々に分かってもらえるだろうかと思ったからだった。
 しかし、この心配は杷憂に終わた。「お断りする理由が見つかりませんでしたので、お受けすることにしました。やり残していた仕事を完成させるために賞金を使わせていただきます」という先生のお話に、会場から拍手が贈られた。
 その後、芦原先生は、利根川の河川工事で唄われたという地固め唄をいくつか披露された。地元出身の年配の方が多くおられたようで、一緒に口ずさむ姿も見られた。
 授賞式の後は祝賀パーティ。パーカッションの軽快な生演奏に包まれながら、肩を擦れ合うようにしてテーブルの問を動き、食べながら歓談をする。最後は、「若者たち」「ふるさと」など、昔なつかしい曲を、肩を組みながら合唱してお開きとなった。
 そのまま別れるのは忍びがたく、短説の仲間だけで喫茶店へ。先生もご一緒され、やはり話の中心は短説。
 私は、授賞式参加してみて、芦原先生の成されたことが、ことに短説が地域に認められるのは嬉しい、という感想を持った。
 同時に、自分が住む土地に愛着を持つ方々が大勢いらっしゃることを知った。そういう意味で自分を見つめなおす良い機会になったと思っている。


北野道彦賞とは
正式には「公益信託北野道彦郷土研究奨励基金」といい、千葉県流山市立博物館友の会同館公式サイト)の創設を提案した作家・北野道彦氏が、私財を投じて平成3年に設立した賞です。北野氏逝去後も遺産を基金に継承され、東葛地域の文化・芸術・社会活動に貢献した個人や団体に贈られています。全国でも珍しい民間の文化賞です。

「短説」平成11年6月号より


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